NYの、とあるバーバーショップ。
このお店には「いつもと違う自分」を夢見る客が訪れる。
椅子に座れば、さぁサービスのはじまり。
ささいなきっかけから巻き起こる不思議な体験。
これは妄想?それとも現実?
舞台はNYにあるバーバーショップ。
「自分を変えたい」とやってきた主人公たちの身に
起きる摩訶不思議な妄想トリップ!?
ブッチは訝しそうに店内を見渡す。店主のエディーはそんな彼の不安など気にも留めない。導かれるように座るブッチ。腕や太ももあたりをさする仕草をときおり見せながら、仏頂面の店主につぶやく。「これでも昔はけっこうやんちゃだったんだ」。エディーは表情ひとつ変えず、いつも通りの作業へ......。
席に着いたウォレスの横には、若々しく自信に満ちた老人男性の姿が。この日初めて会うブッチとウォレスは、その場で恋に落ちてしまう。「最近めっきり寒かったのに」。心と体に温もりを感じた彼女は、リクライニングチェアで天を仰ぎ......。
仲睦まじく店を後にする二人とすれ違うように、オドオドとした態度で入店するジェシー。誰かの浮かれた足取り、鏡に映る陰気な自分、雑に置かれたコーヒー、すべてに苛立つ。仕方なくマグカップに手を伸ばし、ひと口。次第にあふれだすフラストレーション、そして次の瞬間......。
最近ろくに休めておらず、疲れ気味なエディーと愛犬ミート。「今日もよく働いたな」と互いを労いながらひと息をつく。「なぁ。出かけようぜ......」。そうポツリとこぼしたのは、エディー?ミート?突如、強風が吹き込み......。