2021年、NUMERALSが表現する世界を再構築するにあたりまず想像したのが、未来の都市のあり方です。
環境変動やパンデミックを経て、大きく変わりゆく都市の姿。
人影が減少し、無機質で整然とした、広大なアスレチックフィールドのような都市像をイメージし、
現実世界の延長上にありながらも明らかに違う、ごく感覚的な「違和感」を視覚化したいと考えました。
そんな折、彼女の作品と出会います。
文字や人の消費活動の痕跡が消滅し、物質的な機能を失った「都市」を描く作品群は、
「未来」を解釈し展望しようとする点において、私たちの動機と符号していました。
“バーチャルがリアル化”した未来都市の外面を相対化して描いたものがTOKYO NUDEだとすれば、
“バーチャル化するリアル”に適応する服を作ろうと考えたのがNUMERALSです。
そこからTOKYO NUDEの示すイメージに惹かれ、導かれるように、NUMERALSの世界観が構築されていきます。
TOKYO NUDEがあったからこそ、新しいNUMERALSが存在しえたと言っても決して過言ではありません。
NUMERALSの想像する新しい都市は、そこに存在したのです。
今回は両者にとっての新たな取り組みです。
TOKYO NUDEに存在する服は、現実世界とは少し異なってみえるでしょう。
無機質で直線的なその空間では、大気も重力の負荷も変わっているかもしれません。
それを、浮遊する服として表現したのが、今回のビジュアルです。
キャプションより
東京は、時代とともに新陳代謝を繰り返してきた。
ひしめき合うように建てられたビル群は、まるで都会に根差した一つの生命体のようだ。
東京に暮らす私は、この硬質な生命体と共生している。
一方、人同士の共同体意識はネット上に移行しているように感じる。遠距離のバーチャルな繋がりの方が、壁を挟んだ隣人との関係よりもよっぽど重要だったりする。
バーチャルがリアル化し、リアルがバーチャル化している。
今や東京という都市の輪郭はボヤけつつある。
我々にとって物質的な機能が不要になった時、東京はどんな姿になるのだろう。
そこには入口も出口も存在しない、箱としての建造物が広がる。
全ての活動は箱の中で完結し、都市からは写真や文字、人の消費活動の痕跡は消滅している。
人間に装飾された文明という衣服を脱ぎ捨てた、
東京の露わな姿=「TOKYO NUDE」 が広がる。
それは我々にとってのディストピアなのか
東京にとってのユートピアなのか
私達は、確実に変わりゆく東京の輪郭に対峙していかなければならない。
我々にとって物質的な機能が不要になった時、東京はどんな姿になるのだろう。
そこには入口も出口も存在しない、箱としての建造物が広がる。
全ての活動は箱の中で完結し、都市からは写真や文字、人の消費活動の痕跡は消滅している。
人間に装飾された文明という衣服を脱ぎ捨てた、
東京の露わな姿=「TOKYO NUDE」 が広がる。
それは我々にとってのディストピアなのか
東京にとってのユートピアなのか
私達は、確実に変わりゆく東京の輪郭に対峙していかなければならない。
略歴
1985 岡山県生まれ
2010 東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業
2015 アマナグループ 株式会社アンに入社
2021 独立
展覧会歴
2007 受賞作品展「epson color imaging contest 2007」スパイラルガーデン（東京）
2010 個展 「dream islands」ニコンサロンbis（東京、大阪）
2012,2013 TOKYO ART BOOK FAIR参加(東京)
2019 SHANGHAI ART BOOK FAIR参加(上海)
2021-2022 個展「TOKYO NUDE」BOOK AND SONS(東京)、ELD(岡山)、リブリスコバコ(福岡)等
受賞歴
2007 epson color imaging contest 佐内正史審査委員賞受賞
2019 THE REFERENCE ASIA: PHOTO PRIZE 2019 ナタリー・ハーシュドーファー選 優秀作受賞
掲載情報
2009 月刊日本カメラ12月号「東川町国際写真フェスティバル インディペンデンス展レポート」
2019 Lürzer’s Archive ”200 BEST ad photographers worldwide”
2020『IMA』Vol.31「STEP! OUT」
